お茶は面白い

大分県の別府に行ってきました。

その別府にまだ若い23歳の子がhitofukiという屋号でお茶の淹れ手をしながら、普段は他の仕事もしながら金曜日と土曜日だけお茶を入れています。しかも夜の18:00~23:00ごろまで。
お客さんとしては若い人で食事をしてお酒を飲んでくる人たちが多いみたいです。

お茶のメニューは面白いものが多々あり、セレクトは抜群に良いと思います。どのお茶も衝撃が起こるほど香り高いお茶が全国から集められています。

中でも静岡の烏龍茶、長崎のゆず、だいだいほうじ茶、べにひかりの和紅茶、大分中津の後発酵番茶などとてもユニークで作る人のもとへ直接行き現場を学んだ上で淹れてくれました。

茶器はガラスの急須で湯呑みはなんとワイングラス。店内は暗めでさながら上品なバーのよう。普段は白磁の湯飲みで飲む私はびっくりでした。白い湯呑みはお茶の色を拝見する様に使っています。

そんな職業病の日々を送っている私なのですが、後々考えるとふむふむ暗い店内ではお茶の色は見えないし、頼りになるのはそのお茶そのものの香りであったり、味の余韻であったり、手から伝わる温もりであったりと見えない分他の感覚が研ぎ澄ませれる仕掛けになっていました。

考えてみると茶室も暗いですよね、暗い中で飲むからより香りや飲み手の感覚も敏感、鋭利になるのかもしれません。

ここで一つ気がついたことは味、香りにキレがあってわかり易くこれは明らかに違う!というお茶作りを私たちもある程度はしていく必要があるのかもしれません。もちろん無肥料・無農薬の自然農法で。

彼女がセレクトしたお茶は明らかにどのお茶とも違い、とても香り高く分かり易いお茶でした。明らかに違うお茶で、お茶好きを増やす。初めの入り口を広げることの大切さを実感しました。。ただ難しいのは「明らかに違う!」と人々が感じるお茶は大抵品種改良されたお茶にプラスで旨味や香りを出すために肥料をやっていることが多いです。

それを自然農法のましてや在来のお茶の木で実現できるのかどうか、そもそも目指すべきでもないのかもしれないなどと色々考えてしまいました。

馬に例えるなら品種改良のお茶はバキバキのサラブレットの馬なんです。選びに選び抜かれた良質な最強の馬です。その反対に在来茶は全て雑種でもういろんなものと交配して何馬か分からないのです。足が短くて、早くなく、小さくてロバみたいなノロノロだけどその土地に昔から深く根差した奴なんです。

私たちのお茶の特徴は本当よく言われるのですが、京料理の様なしらっとした、よく分かりづらい、曖昧なものなのです。ただ華やかではないけど、どこか懐かしく、日本人が日本人に還れる様なお茶だと個人的には思っています。噛めば噛むほど味が出る様な特徴は本当にあると感じています。

ただ多種多様なお茶作りをしていきたいというのは前から思っていますし、もしかしたらいつか「明らかに違う!」系のお茶ができているかもしれません。
その際には優しく微笑んでくださいね。

そして全国津々浦々にお茶の淹れ手が増え、お茶を気軽に飲める場所が増えることを祈ってます。

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